暗くなってからの話。
横になる。
目をつむる。
手足を投げ出す。
軽く曲がった手のひらは自然に体の方を向いて、腕が地面に沿う。
手と足が地面に接していることを意識して、
大きく息をつく。
体の力が抜けてくると、手足は地面により近づいて、少し沈むように重たく感じる。
手足を動かすのが億劫になる。
「リラックスを深めると手足が動かなくなる」とよく言うけれど、実際に動かなくなる必要なんてない。動かないかどうか試す必要もない。
ただただ力が抜けてるなと思えればよい。
さらに息をつく。
横隔膜は、息を吸い込むときに力が入って、力が抜けると自然に息が出ていくようになっている。
つまり、息を吐くことと力を抜くことは同じこと。
息を吐くたびに、体のどこかで力が抜けていく。
息を吐ききってから吸うまでの、力が釣り合って止まる時間が少しずつ長くなっていく。
こうして自分の体や呼吸に集中していると、不思議と気持ちが落ち着いてくる。
しばらく続ける。
その後は、大きく息を吸って目を開けて、何かにとりかかってもいいし、
そのまま眠ってしまってもいい。
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「集中」と「余計なことを考えないこと」と「リラックス」は割と近いところにあるらしいです。
初めのうちは周りの音が聞こえてきたり、自分の舌の定位置がわからなくなったり、メタ的な思考や感情に邪魔されて集中できないことがあるかもしれません。
そんな場合は、眠くて余計なことを考えられない日に少しずつ試してみるのもいいかもしれません。
手足の力が抜けた時の「重たい」という感覚を憶えるには、仰向けの状態で片腕/片足を30センチほど上げてから、力を抜いてバタンと落とす、これをゆっくり数回繰り返すとわかりやすいかもしれません。
ザルで水を切る時のように、体が落ちる勢いで力を体から落としていくようなイメージ、とでもいうのでしょうか。
バタンと落ちた後の脱力を感じながら、ゆっくりゆっくり繰り返すと、「次、たぶん頑張れば上げられるけど非常に億劫…」と感じるときがあるかと思います。
その時の感じが「重たい」ということです。
また、脱力の感覚を憶えられれば、座っていても少しの時間でも「まぁ少しはリラックスできたかな」と思えるようになってきます。
それだけで心と体は結構休まるので、休憩時間などにタイマーをかけて、休憩室のすみっこで数分の間でもやってみるとよいです。
そうしてリラックスに慣れてくるとたまに「まだ寝てはいないんだけれども もはや寝ているのと同じくらいリラックスしている」というような不思議な感覚を味わえるときがあります。楽しいです。
※この感覚はたぶん単なる感想の一つで、そう感じられないとリラックス効果がないということではないと思います。
話は変わりますが、石田ゆり子さんは寝る前に「微笑んだ顔で眠る」ことを意識しているそうです。
「今日も一日ありがとうございました」「あしたもよろしくおねがいします」と言いながら眠るんだとか。
これを知ってからは、私も微笑んで寝ることを意識してみようと思うのですが、毎日続けることはなかなかに大変で、いつも忘れて真顔で寝てしまいます。
しかし、ふと思い出してやってみると、なかなかどうして気分がよいのです。
私の場合は単に布団や枕に包まれて気持ちがいいなぁという気持ちもあるかもしれませんが…。
いい日も悪い日もよい表情をして、自分へのねぎらいや祝福、明日への期待をもって眠る。素敵だなぁと思います。
それでなくても、単に「笑顔を意識する」ということ、それを寝る直前という油断の最たるタイミングで続けていくことだけでも、忘れてばかりの私にはすごいことだと思うのです。
蛇足ですが私の枕は石田ゆり子さんおすすめのテンピュールの枕です。
もったりふわふわの低反発枕です。
幸せです。ふふ。
そんな、暗いようで暗くない話でした。