すーぎののリフィル

ちょっと長めに考えて置いておくところ。

そらリゼーション

 

そらリゼーション 【初音ミク オリジナル】 http://nico.ms/sm35036524

 

の音色の話をします。

難しいかもとは思いますができればバックで再生しながら読んでください。

 

(0:00)

掴みは一瞬で。

ピアノとベースのハイスピードな変拍子

 

ライドシンバル。

ハイハット

クローズドリム。

ドラムの音ひとつひとつが全部聞こえてくる。

これらの音のシャープさは曲全体を通して ある種の基準になっていて、耳をすませれば必ずどこかにいる安心感と、けーぜろさんの特徴である複雑な変拍子におけるリズムの拠り所にもなっている。

 

明らかに一人じゃ弾けないスピードの階段が1つずつ重なって次のフレーズへ金管楽器でいうところのベルトーンのような効果のある音の重なり。こうもハイスピードなフレーズがあからさまに詰まっていると、まだまだこの直後に歌は入らないなという印象を受ける。ひと盛り上がりではあるけれどまだまだイントロは続くぜ、リズムに翻弄されてろ、という譲らない姿勢。(ここまで15秒)

(0:15〜)

真のイントロ。

ピアノがメロディを奏でる後ろで、

アタックが弱い別のピアノとストリングスが、ゆったりとした空間を演出して、それまでにあった激しさだけでない優雅さを与え、ボーカルを待つ。

(0:24〜)

ボーカルが入ると音の長い空間担当はいったんいなくなり、歌を印象づけるシンプルな音色に。

途中からはストリングスが復活して、ピアノはメロディでなく和音を押さえて少し落ち着く。間奏へ向かう。

(0:44〜)

ここで衝撃の歪んだエレキギター

今までの音色とは一線を画す異色な音だが、アタックも波形も激しくなく、不思議と心地よくマッチしている。

そしてこのエレキギターには歌がいなくなった瞬間からビブラフォンがユニゾンする。この辺の細かい音使いがけーぜろさんの天才ポイントだと思う。

(0:54〜)

2番のAメロ。1番と違うのは、クリーントーンのギターがいること、ハモリがいること。

Bメロから歪んだエレキ再び。歪んだエレキとストリングスを歯切れよくユニゾンさせるとかっこいいって思いついた人誰??やばくない??

ドラムとピアノが単純なリズムを叩いて盛り上げていく。

 

(1:18〜)

サビ。音色全部入り。

歌がいる。ハモリがいる。ストリングスがいる。ライドがいる。バスドラもスネアも聞こえる。ピアノもいる。右下に一段と歪んだギターがいる。

これらがひとつひとつちゃんと聞こえるのって、すごいことですよ。

(1:29〜)

1:18と同じような動きと見せかけてちょっと違うストリングスが演出するコードがエモい。

サビは全体を通して上昇形のフレーズが印象的だ。

ピアノの高速ピロピロも少しずつ少しずつ上がっていって、歌が最後に気持ちよさそうに伸ばす音まで、一緒になって盛り上がりを引っ張り上げている。(なお歌が伸ばしている間は好き勝手ピロピロしている(なおそこにストリングスやエレキギター、だけで飽き足らずベースもバスドラも全く同じ音で加勢する異常事態))

 

(1:54〜)

間奏。おいエレピお前今までどこにいた。しかも激しく歪んでるし。誰だお前。エレキと歪同盟を組むな。

今までの綺麗さとのコントラストがすごいぞ。すごいな。うんすごい。

あとリズムが一層意味わからん

(2:06〜)

それをたった1小節で浄化するピアノの音色ってすごくないですか?

(2:08〜)

あの歪同盟から何事もなかったかのようにピアノと歌とハモリだけの世界に持ってこれる人なかなかいないですよ。

そしてこの純粋空間に1番目に音を差し込んでこれる人はだれでしょう?そうだね。ライドシンバルだね。

ライドシンバルを皮切りにバスドラ、スネアとストリングスが入ってくる。

点数発表の時とかに聞こえるスネアの"ロール"っていう音は一般にどれくらい馴染みのある言葉なんだろう。スネアが細かく刻んでいるとドキドキしてくるよねってことが言いたいんだけれど、伝わってほしい。

(2:31〜)

このへんからちょっと音の感じが変わる気がする。宇宙感が増す。余計な変拍子シンコペーションのない、整然とした八分の単調なリズムが逆に印象的だ。

ぽよぽよしたかわいいエレピ、宇宙っぽい!

フルートや歪んだエレキが伸ばしてる中でもずっと刻んでる人たちがいる。さっきも似たようなこと言ったけど、単調な刻みはドキドキしてくるよね。

あとしれっと3拍2連でぽろぽろ雪みたいの降らすのやめてねエモさで人は死ぬんだよ。

 

(2:59〜)

アッ(死)

1番のサビと同じ盛り上げ方をしておいてこんな綺麗な……O(:3 )~ ('、3_ヽ)_

と思いきやここに第一声を差してくるのは歪んだエレキ。1小節どころか1拍こっきりである。本来あるはずだった盛り上がりを思い出させる強者である。

(3:13〜)

この辺は盛り上がり放題なので、歌が少しでも伸ばすと誰かがすかさずピロピロ言い出す。主にピアノ。あとベースもちょいちょいはしゃいでる。

(3:24〜)

ラストははしゃぐだけはしゃいで全員で同じことしてっバーン…ババババババン!ってどんな終わり方だよやりたい放題だな文化祭か?(褒めてる)

 

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ちょっと意外な気がするのが、綺麗のターンで終わらないんですよね。盛り上がっておしまい。

まぁコンセプトアルバムのイントロダクションにあたる曲だから、これくらいでいいのかも。体言どめみたいに、バンと終わることで続きを印象づけられるのかもしれない。

 

そらリゼーション 【初音ミク オリジナル】 http://nico.ms/sm35036524

作詞作曲: k_zero+A

 

sola-rizationという、「宇宙から流れ着いたボトルメール」というテーマのアルバムの表題曲。

けーぜろさんがひとつひとつ丸めて結んで封をした小さなボトルメールを実物で買い、中に入った紙に書かれたURLから楽曲をダウンロードするというおしゃれなアルバム。

 

私は、けーぜろさんの音色の選び方、音色の置き方がとても好きだ。

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本来「ソラリゼーション」とは、写真の技法(現象)で、現像の際に過度な露光に晒すと写真の白黒が反転するというもの。

けーぜろさんはこれまでに白と黒に関するアルバムを多数作っていて、今回もその流れを踏襲しているものと思われる。

(これまでのものには、「白盤」と「黒盤」の2枚組『まざる』や、「CMY」と「RGB」の2枚組『is_coloratura』などがある)

 

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今23:56!!

推敲の余裕なし!(死)